等身大パネルを作成するためのポイント

このページでは、等身大パネルを専門業者に依頼して作成する場合のアドバイスをいたします。等身大パネルを自作したい場合は、下記のサイトが役に立つと思われますのでご参照下さい。

★自作できる!等身大パネルの作り方 | marry[マリー]
ウェディングアイテムとしての新郎新婦の等身大パネルの作り方について、写真付きで丁寧に紹介されています。

★等身大パネルの作り方まとめてみた - NAVER まとめ
個人での利用を前提として、編集ソフトを使った写真(イラスト)の分割方法と、スタンドの詳しい作り方まで解説されています。


【目次】等身大パネルを作成するためのポイント

一口に等身大パネルと言っても、製作会社によってスペックや価格体系が異なります。専門業者に依頼する前に、次の10のポイントを押さえておくと、業者選びやご注文がスムーズになるかと思います。




権利関係はクリアになっていますか?

まず、漫画・アニメ・ゲーム等のキャラクターイラストを等身大パネルにする場合、あなたがキャラクターの著作者でない限りは、権利の所有者に許可を得ていることが大前提です。勝手に製作することは、著作権の侵害に当たります。印刷会社によって見解が分かれるところですが、同人誌に代表される二次創作物や、個人利用を目的としている場合でも断られる可能性があります。

写真を使用する場合についても、被写体となっている人物の肖像権や、撮影したカメラマンの著作権が発生いたします。後々のトラブルを防ぐためにも、権利関係の問題は事前にクリアしておくべきでしょう。


著作権については下記のWebサイトが詳しいのでご参照ください。
公益社団法人著作権情報センター「著作権って何?」


どんな用途で使いますか?

等身大パネルは主に次のようなシーンで使われています。

・来店客を商品に誘導するための店頭販促ツールとして
・展示会の自社ブースに注目させるアイキャッチとして
・イベントで実施するスタンプラリーのランドマークとして
・SNSでの拡散を狙ったフォトスポットコーナーに
・ファンに販売するオリジナルグッズとして
・キャンペーンの当選者に贈る景品として
・結婚式の披露宴や二次会のウェルカムボードとして

新型コロナウィルス対策のアイデアとしては、店員の代わりにソーシャルディスタンスや商品の欠品を伝える注意喚起用のサインPOPとしての活用や、「3密」を避けるために学会や集会に参加できない招待者の等身大パネルを設置して記念写真を撮る、などが挙げられます。


等身大パネルの仕様を決定する際に重要になってくるのが「設置場所」で、屋内と屋外ではパネルやスタンドに使用する素材も変わってきます。雨風の当たる場所では耐水性・耐久性も求められます。屋内用のパネルには、おもにカッターでも容易に切れるスチレンボード(発泡ボード)や段ボールが、屋外用は看板用途にも向いているアルミ複合板が使われています。自立させるためのスタンドも、屋内用にはダンボールや厚紙などの紙製、屋外の場合は鉄フレーム製が多く使用されています。

次に、設置期間についての注意すべきポイントとして、太陽光に当たる場所に長期に渡り設置する場合、鮮やかだった印刷面が色褪せることがあります。表面に耐光性のあるラミネート加工を施せば、ある程度の効果は得られますが、半永久的な品質維持を望めるものではありません。パネルやスタンドの経年劣化も考えると、見た目のきれいさを維持するには再製作することをご推奨いたします。


どこまでデータが作れますか?

印刷物を格安料金で製作できる印刷通販の多くは、「完全データ」と呼ばれる印刷するにあたって不備のないデータを求めます。特に等身大パネルでは、人物写真やキャラクターの輪郭線に沿ってカットするためのカットラインデータが必要となり、印刷会社ごとに細かいルールも決められています。印刷会社のデータチェックにより不備が発覚した場合は、どちらがその作業をするにしてもタイムロスが生じ、納期に影響することがあります。

印刷通販サイトによっては、どのように完全データを作れば良いかを解説するテクニカルガイドや、印刷用データとカットラインをレイヤー毎に配置するだけのテンプレートを用意することで、スムーズなやり取りを実現しています。

どの業者も「Adobe Illustrator(アドビイラストレータ)」というアプリケーションによるデータ入稿を推奨しています。「Adobe Illustrator」「Adobe PhotoShop(アドビフォトショップ)」をお使いでない方には、カットラインデータの作成や写真の背景を切り抜く作業、簡単な文字入れ等を代行している業者もあります。写真の合成や全体的な装飾・デザインとなると受け付けていない印刷会社もあるので、その場合は別途、制作会社に任せることになります。

「Adobe Illustrator」のパスで描いたベクター形式のイラストであれば、拡大しても劣化を生じさせません。写真を使用する場合はデータサイズに注意が必要なので、次項目の「写真を使う場合、サイズはどれくらいですか?」をご参照ください。

等身大パネルのような大型印刷物では、データ量が大きくなる傾向にあるので、大容量のデータ転送に対応したファイルストレージを使用して入稿します。CD-R・DVD等の記録メディアによる入稿を受け付けている業者もあります。


写真を使う場合、サイズはどれくらいですか?

写真データのサイズには2種類あります。実際に印刷した時の仕上りサイズと、「MB(メガバイト)」「GB(ギカバイト)」等の単位で表現されるデータサイズです。この2つは相関関係にあり、印刷の品質を左右する「解像度」に影響してきます。

通常、チラシやカタログ等の印刷物には350dpiの解像度が求められていますが、大型の販促資材に関しては、ある程度、離れた距離から目視するため、150dpiから200dpiくらいの解像度でも充分だと思います。72dpiや100dpi程度でも問題ないとする印刷会社もあって、この数値の見解は分かれるところですが、極端にサイズの小さいデータを無理矢理に拡大すると、写真がモザイクタイル状に印刷されますのでご注意ください。

「この画像の大きさで大丈夫か?」というお問合せは、実は印刷会社が困る質問です。発注者の品質許容ラインは実際に実寸で印刷してみて、発注者が確認して判断しないと分かりません。目安として、仕上りサイズで印刷したときに上記の解像度をクリアしているかをチェックしてみてください。予算に余裕があれば、一度原寸大で出力してみて見え方をチェックするのも一つの手段です。


スマートフォンやデジタルカメラでは、どれくらいの大きさの写真を撮れるかを「画素数」で表現しています。

また、等身大パネルの実寸はメートル法で表しますが、データ上ではピクセル(pxcel)で表します。仕上がりの長さからデータとして必要な長さを求める公式は下記の通りです。

仕上りの長さ(mm)÷ 25.4 × 解像度(dpi) = データ上の長さ (pxcel)


この「データ上の長さ」の長辺と短辺を乗算したものが「画素数」と呼ばれているものです。


仮に、身長が1.8m、幅が90cmの人物の写真で等身大パネルを作成する場合、細かい話はさておくと、

長辺(高さ):1800mm ÷ 25.4 × 150dpi= 10630pxcel
短辺(幅) :900mm ÷ 25.4 × 150dpi= 5315pxcel

が必要となり、データサイズとしては

10630 × 5315pxcel = 5,650万画素数が必要となります。最新型のスマートフォン「iPhone X」のカメラ機能でも1,200万画素なので、杓子定規に考えるとかなり小さい気がします。解像度を72dpiまで下げて計算すると1,300万画素となるので、あとは遠目で見るぶんには粗はそれほど目立たないものとして製作するか、ハイスペックのデジタルカメラで撮影するかになってきます。


仕上りサイズはどのくらいですか?

どれくらいの大きさの等身大パネルを作るかによって、コストは大きく変わってきます。

例えばスチレンボード製の等身大パネルの場合、高さが180cmまでか、それ以上になるかで価格が大きく変わる設定にしている(もしくは180cmまでしか対応していない)印刷会社があります。その理由は仕入れる資材の大きさによるもので、「3x6判」と呼ばれるサイズを超えると、より大きな資材を使わなければならないからです。裏面のスタンドも同じで、パネルの大きさに合わせてサイズを変更します。

また、複数の人々が並んで一体となったワイド型の等身大パネルを製作する場合は、複数に分割したパネルを組立の際に繋げる方法を取ります。背面のスタンドも複数取り付けることで、横に長いパネルを安定させます。

パネルサイズがA1(841×594mm)くらいになると、床に置くには目線の高さを考えると小さく、テーブルの上に置いて使用する「卓上POP」向けとなります。製作するスタンディのサイズによって、どの業者が格安かは変わってきます。


印刷の色味はシビアですか?

版元からキャラクター使用の許諾を得たケースでは、本番の印刷を想定した色校正チェックが必要なことが多く、校正にかかるコストを想定しておかなければなりません。最初の校正でOKが出れば良いのですが、2回、3回と続くとその分コストは加算されるのでご注意ください。

ちなみに、等身大パネルの印刷方法には大きく分けて2種類あります。ロールタイプの印刷用紙に出力してからパネルに貼付けるタイプと、UVインクジェットプリンタによる直接パネルに印刷(ダイレクトプリント)するタイプです。前者の場合、イメージに合わせて光沢紙やマット紙などの質感の異なる用紙を指定できます。実寸での色校正が必要な場合も、ダイレクトプリントよりもコストがかかりません。ダイレクトプリントで色校正を行う場合は、サイズを縮小してチェックすることで色校正費を抑えられます。


どんな加工をしますか?

等身大パネルに見られる主な加工には、次のようなものがあります。印刷会社によっては対応できない場合があるので、事前にご確認ください。

①ラミネート加工
パネルの表面を保護するためにフィルムを貼付ける加工です。光沢のあるグロスラミネートと、つやのないマットラミネートがあり、発注先によってはマットの方が高くなる場合があります。表面に銀塩写真のような光沢感を出したい場合はグロスタイプを、等身大パネルと記念写真を撮らせたい場合は、光を反射しないマットタイプを推奨します。片面より両面にラミネートをした方が反りも少なくなります。

②二つ折り加工
スチレンボードにスリットを入れることで、折り曲げるようにする加工です。畳めることで持ち運びがしやすくなり、配送コストも抑えられます。より大型の等身大パネルの場合は、三つ折り以上の加工になることもあります。耐久性には乏しい加工なので、ラミネート加工を必須としている業者もあります。

③顔出し穴開け加工
記念写真用に顔の大きさにくり抜くことで、顔出し看板の機能を付けた加工です。オプションとして対応しているか、別商品として扱っている印刷会社が多いです。穴の位置によっては背面のスタンドとの兼ね合いで難しい場合もあるため、事前の打合せが必要です。


作るのは1体ですか?複数ですか?

個人利用で作成する等身大パネルは1部のみが多いですが、全国の小売店に設置するような販促利用では発注ロットも大きくなります。部数によって最適な資材や印刷加工方法も変わり、部数が大きいと「オフセット印刷+ダンボールに貼り合わせ+型抜き加工」、少ないと「オンデマンド印刷+スチレンボードに貼り合わせ(またはUVインクジェット印刷によるダイレクトプリント)+カッティングプロッターによる加工」という組合せが考えられます。

等身大パネル製作を請負う印刷通販を見ると、部数が多くても単価が変わらないところもありますが、価格表に掲載されていない大口注文の場合は、ボリュームディスカウントしてくれるところもあるので御見積書を取ってみると良いでしょう。

別々のキャラクターを複数台製作したい場合は、台数によって単価を下げている業者でも、それぞれ1体の場合の価格を採用していることがあります。(例えば、1体の発注で15,000円、同じデータで10体の場合の単価が10,000円でも、別データで10体の場合は単価が15,000円となります。)複数台作成する際は、同じデータか別々のデータかで価格が変わるのかは良くチェックしておきましょう。

1つずつサイズが異なる等身大パネル
1つずつサイズが異なる等身大パネル

使うのはいつですか?

等身大パネルの製作には、どれくらいの日数がかかるでしょうか。その答えは「当日中に作れる」「1ヶ月以上かかる」のどちらもあり得ます。

まず、カットラインデータや写真の切り抜き、全体的なデザインを委託する場合や、色校正が必要な場合はその日程を考慮しなければなりません。

入稿データに不備がなく、すぐにでも印刷できる状態にあれば、業者によっては翌日発送してくれるところもあります。入稿時間や納品場所にもよりますが、当日中に届けてくれる特急サービスを受けている印刷会社もあります。短納期に強い印刷会社を選ぶポイントは「24時間営業」や「年中無休」であるかにあります。その両方であれば最強です。

気をつけるべきは「営業日」という表記です。例えば「5営業日」と書かれていたら、土日祝日が含まれていないことがほとんどです。年末年始やお盆のシーズンにかかる場合は、長期休暇にも注意したほうがよいです。

仕上がる日までの日数とは別に、発送してから何日で納品場所に着くかも重要なポイントになります。等身大パネルの配送業者は、ヤマト運輸・佐川急便・西濃運輸などが挙げられますが、納品先の地域によってだけでなく、運送会社や梱包サイズによっても最短の配達日数は変わってきます。配送を委託している会社が明確な場合はその配送会社のホームページを参照し、不明な場合は印刷会社に問い合わせてみましょう。


予算はどれくらいですか?

最後にこれまで整理した内容を踏まえ、予算と見合うかを検討します。

たいていの印刷通販サイトは価格を明示していますし、自動見積をしてくれるところもありますので、オプションも含めて、合計額がどのくらいになるかを算出してみましょう。

気をつけたいのは「送料」です。業者によって「送料込み」「送料別」「全国一律」「地域によって変動」など表記が異なるので、消費税も含めた支払うべき総額を算出する必要があります。

業者によっては「特急便」と「通常便」等、製作日数によって価格を変えて対応しています。なるべく製作費を抑えたいのであれば、余裕を持ったスケジューリングをすることが大切です。まずは各社の営業カレンダーをチェックしましょう。


他に予算を抑える手段として「パネルのサイズを(資材の規格に合わせて)小さくする」「送料を抑えるためにパネルを二つ折りや分割にする」「オプションの加工をやめる」「校正(テスト出力)はしない」等が挙げられます。各社の基本仕様や料金設定を参照し、予算との兼ね合いで妥協点を見つけてみてください。

「激安」を謳った等身大パネル作成サービスでも、送料を含めて1万円を切るところは少ないです。予算が1万円以下という場合は、等身大パネル以外のツール製作を検討してみてはいかがでしょうか。例えば、フォトスポットとして製作する予定だった場合、大判のポスターを壁に貼るに留めたり、スチレンボード製のインスタフレームやフォトプロップスといった小道具で間に合わせたりというように。


スチレンボードやアルミ複合版、アクリル等の各種ボードに印刷するUVインクジェットプリンタや、曲線など自由な形状にカッティングできる大型プロッターを持つ「OPEN FACTORY(オープンファクトリー)」でも、等身大パネル製作を請け負っております。守秘義務や権利の関係上、お見せすることができないものがほとんどですが、実は300体以上のオリジナル等身大パネル製作の実績があります。

これまで特大・横型幅広サイズなど、お客様のご要望に沿ったフルオーダー製作をメインにしてきましたが、格安で提供できる「STANDY 3x6(スタンディサブロク)」というサービスも開始しておりますので、どうぞご利用くださいませ。

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